在外選挙

あちらこちらのブログで選挙の話題を見るが、私にとって選挙といえば人が集まる賑やかなお祭りの一種だったことを思い出す。まだ選挙のなんたるかを知らない一桁年齢の子供時代は、電車に手を振るかのように道行く街宣車に手を振って、母に叱られたこともあった。妹が、名前が変わっていて覚えやすい候補者の宣伝をマネしていたこともあった。政事と書いて「まつりごと」と読むのではなかったかな。よく言ったものだなと思う。桜井の私が生まれ育ったところは田舎で比較的選挙に熱心な地域であった。また亡くなった父も祖父も選挙の好きな人だった。「好き」とはちょっと違うぞ、と影から言われているような気もするが、祖父の時代から選挙がはじまるとまるでお祭りのように周りが活気づき、開票の時には近所の人が集まってきて結果が出るまで一緒に一喜一憂し、当選の暁には候補者(その時点では当選者)がお礼のご挨拶に回ってくるまで待つ。その間、私はお茶やお酒を振る舞う手伝いをするのだった。「いとちゃんはよくお手伝いしてえらいねー」とか近所の人にほめられるのも好きだった。祖父はともかく、父はそうやって人が集まるのが好きだったのだと思う。一昨年の選挙の時には立会人も経験した。心なしか父は嬉しそうだった。国際会議のたびに故上林先生に「『お祭り好き』はお父さん譲りかなぁ」と笑って言われていたのも思い出す。父も先生も亡くなってしまって、選挙も(多分国際会議も)もう私にとっては楽しいお祭りごとではなくなってしまった。